賃貸物件を探している人にとって「なるべく家賃や初期費用の出費を抑えたい」という点を重要視している人は、少なくないでしょう。
賃貸不動産には、一年のうちに同じ物件であっても家賃の高さ・安さに差がある時期があることをご存知でしょうか。その時期を把握することによって家賃を少しでも安く抑えることは可能です。
今回は、時期による賃貸物件の家賃の変化、時期によって生じる賃貸物件を契約のメリット・デメリット、一人暮らしにかかる費用を安く抑えるコツなどについて、詳しく解説しましょう。
時期によって賃貸物件の家賃に差がある理由は?
賃貸物件市場は、一年のうち時期によって、家賃の相場が高くなる・安くなる仕組みです。なぜ賃貸物件の家賃は、そのような変動があるのでしょうか。その理由について以下より説明しましょう。
新生活開始の時期は引っ越し依頼が殺到!
1年のうち最も引越しの件数が多くなるのが、1〜3月といわれています。その理由は、この時期は大学入学・新社会人の入社などで新生活が始まる前の時期だからです。
4月は入学式や入社式など、新しい生活が始まる時期なので、その新生活に備えて一人暮らしを開始する人が急増します。
そのため、不動産会社は、そのような人を対象とした物件を多数用意して対応しているのです。この時期は、大いに需要があるため相場よりも家賃が高くなっていても、すぐに契約希望者が殺到することが多いです。
また、お盆など長期の休みが多い8月、シルバーウイークがあり転勤が多い9月も、物件の需要が高まる時期なので、家賃相場が高くなるといわれています。
オフシーズンと言われている時期はいつごろ?
では、物件の需要が下がる、いわゆるオフシーズンといわれている時期は1年のうちいつごろなのでしょうか。
不動資産会社・引越し会社にとってのオフシーズンは、引越しが多発する時期のあとの5〜7月、10〜12月といわれています。ただし5月はゴールデンウイークがあり、この連休を利用して引っ越しをする人も少なくないので、多少需要が高まる時期です。
また、12月ごろは新生活に備えて需要が高まる前の時期なので、徐々に優良物件が増える時期といわれています。
オフシーズンに賃貸物件を契約するメリットとは?
オフシーズンは、引っ越しシーズンが終わったあとであり、不動産会社・引っ越し会社にとっての繁忙期が終了した時期です。そのため、優良物件は少ないといわれていますが、オフシーズンに賃貸物件を探して契約することは、いくつかのメリットもあります。
賃貸物件を選ぶ際、費用を抑えることを何よりもこだわっている人は、オフシーズンに賃貸物件探しをすることがおすすめです。転勤・引っ越しのタイミングが春以外の人もオフシーズンのお部屋探しがおすすめです。
では、オフシーズンに賃貸物件探しをするメリットとは何か、以下より具体的に紹介しましょう。
安い物件が多い
オフシーズンに賃貸物件探しをすると、オンシーズン・繁忙期に比べて、安い物件が見つかりやすくなります。ただし安いといっても、高額の家賃だった物件がオフシーズンになった途端、急激に安い家賃設定になるわけではありません。
ここでいう物件の安さとは、敷金・礼金などの初期費用です。オフシーズンは繁忙期に比べると、入居希望者が減る時期なので、アパート・マンションのオーナーさんがなんとか空室を埋めたいと考えています。そのための対策が敷金・礼金の支払いを軽くすることです。
物件探しをしている人にとって負担となるのが、敷金・礼金の初期費用が挙げられます。敷金は退去時に変換されることが多いとはいえ、敷金・礼金にかかる家賃数ヶ月分の支払いは決して安い出費にはなりません。
そのような入居希望者の考えに配慮して、オーナーさんは入居者が決まりやすいように、オフシーズンになると敷金・礼金の負担を軽減しているケースが多いのです。
引っ越し会社の費用も安い
不動産会社と同じ時期にオンシーズン・オフシーズンがあるのが、引っ越し会社です。物件契約数が多い時期は、引っ越し会社も連動して忙しくなり、繁忙期が過ぎると落ち着きます。
そのため、引っ越し会社もシーズンによって引っ越し料金が変動する仕組みで、1年のうち最も引っ越し依頼が殺到する時期である、新生活が始まる準備段階の1〜3月は、引っ越し会社によっては料金が通常より倍のところも少なくありません。
その反面、繁忙期が過ぎると、各引っ越し会社は料金を安く設定するところが多いです。そのため、入居の初期費用の一種である引っ越し費用を少しでも安く済ませたい人は、オフシーズンと呼ばれている時期に引っ越しをすると、初期費用を抑えられるでしょう。
オフシーズンになると、アルバイトを減らして引越しのプロである正社員だけで仕事を進めることが多いです。この時期だと手慣れたサービスを受けられる確率が高くなるメリットもあります。
余裕を持って物件を探せる
オフシーズンになると、オンシーズンよりも多少はゆとりを持って、じっくりと物件探しをすることが可能です。
オンシーズンは、良い物件があってもすぐに契約者が決まってしまいます。また、不動産会社も入居希望者が殺到する時期なので、希望者一人に多くの時間を割くことは難しいと言えるかもしれません。
しかし、オフシーズンになると入居希望者の数も落ち着いて、不動産会社も時間に多少の余裕ができるため、こちらの要望にも余裕を持って対応してくれるでしょう。
注意する点は、良い物件はオンシーズンだけでなく、オフシーズンでも早い者勝ちで、すぐに契約者が見つかる確率が高いということです。オフシーズンで引越しする人が少ないから、良い物件が簡単に見つかるわけではないので、注意しましょう。
キャンペーンをしている物件が多い
不動産会社は、オフシーズンになると空室を埋めるために、以下のようなキャンペーンを実施しているところも多いです。
- 家賃キャッシュバック
- 入居開始から数ヶ月は家賃割引(フリーレント)
- 敷金・礼金割引および無料
このようなキャンペーンの対象内の物件であれば、通常より安く賃貸物件の契約ができます。ただし、キャンペーンによってお得になった物件は、その安さにだけに気を取られてはいけません。
築年数が古い、設備が充実していないなどのケースがあるため、安さにだけに目を向けないで物件とその周辺の環境をしっかりと確認することが大事です。
また、キャッシュバックなどの特典がある場合、いくつかの条件(指定するネット銀行の口座を用意する、ネット上に口コミなどを掲載する)をクリアしないといけない場合があります。どのような条件があるのか、不動産会社に事前に確認しましょう。
デメリットもある!オフシーズンの賃貸物件探し
オフシーズン時の賃貸物件の契約はメリットがありますが、オフの時期であるためデメリットも存在します。オフシーズンにおける賃貸物件探しのデメリットとは何か、以下より具体的な例を紹介しましょう。
新生活開始のタイミングと合わない
賃貸物件の契約およびその物件への引越しのピークは、新生活が始まる前の1〜3月といわれています。この時期に引越しをしないでオフシーズンに賃貸物件探しをすると、春の入学・入社といった新生活とタイミングがずれてしまうでしょう。
新生活が始まる前に物件を契約しておけば、新しい居住空間での一人暮らし、物件周辺の環境に慣れることが可能です。しかし、新生活が始まってから物件探しをした場合、特に新社会人は社会人生活に慣れてない状態で賃貸物件探し、引越しの手続きなどを行わなくてはいけないので、心身ともに疲弊するでしょう。
新生活が始まる前の、時間的に余裕のある時期であれば、物件探しもゆとりを持って行えますが、新生活と物件探しの両立は苦労すると言えるでしょう。
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優良物件が少ない場合がある
オンシーズンといわれる時期、特に新生活が始まる前の1〜3月ごろは、同時に退去される方も増え、優良物件に空きが出るタイミングでもあります。
そのため、オンシーズンには、優良物件から契約されてしまうため、オフシーズンには、良い条件の揃った賃貸物件は、オンシーズンに比べると見つかりにくいと言えるでしょう。
ただし「オフシーズン=良い物件がない」というわけではありません。
物件数を持っている不動産会社であればシーズンを過ぎても様々な物件が紹介可能です。繁忙期を過ぎて決まらなかった場合にはリノベーションされてきれいな状態になった物件も出てきます。
また、先述した通り、オフシーズンになれば繁忙期に比べて不動産会社も時間的に余裕があるため、要望をしっかりと聞いて対応してくれるでしょう。
「新生活応援フェア」に対応していない
4月の新生活が始まる前によく見られるのが、家電店や家具専門店の「新生活応援フェア」といったキャンペーンです。この時期になると1人暮らしなどの新生活の開始に備えて、新たに家具や家電を購入する層が急増します。
そのような時期に対応して、家電店などは多くの購買者を獲得するために割引キャンペーンを行っているのです。
そのようなキャンペーンは、オンシーズンに連動して行われるので、新生活開始が落ち着いたオフシーズンになると、キャンペーンも終了します。そのため、オフシーズンに家電や家具などを揃えたいと検討している人は、オンシーズンに比べてお得にお買い物はできないかもしれません。
ただ、最近ではクラシファイドサービス等の普及でネットでも安く家具家電が手に入ります。オフシーズンにお部屋探しになる場合には、家具をそろえる方法も工夫してみてください。
オンシーズン(1~3月)でも賃貸物件・引っ越し費用を安くするポイント
ここまで記事を読んでいただくと、「オフシーズン=費用が安くなる」「オンシーズンは高い」というイメージを持った方も多いのではないでしょうか。
しかし、オンシーズンでもポイントを押さえておけば、費用を安くすることは決して不可能ではありません。
では、オンシーズンに賃貸物件の初期費用、引越し費用を安くするにはどうすればいいのか、そのポイントについて次より説明しましょう。
物件の相場をよく調べておく
自分の希望する物件は一般的にどれくらいの相場なのか、事前に調べておきましょう。相場を知ることによって、どの不動産会社が高い・安いということを把握できます。
時間に余裕があれば自分で物件を一つずつ調べる方法でもいいですが、物件比較サイトなどを利用するのもいいでしょう。
早めに転勤・入学等が決まっている場合は、決まった時点で早めに探し始めるのがおすすめです。
引っ越し費用・初期費用を節約する
初期費用で大事なのは引越しにかかる費用も挙げられます。少しでも引越し費用を節約したい場合は、引っ越し会社の費用も比較しましょう。引っ越し会社に関しても比較サイトがネット上にあるので、利用するといいでしょう。
複数の会社で見積もりを出してもらうことも、おすすめです。それにより引っ越し費用を比較しやすくなります。
また、引っ越し費用・初期費用を抑えるには、次のような方法もあります。
- 自分で車を出して引っ越しをする
- 家具家電付きの物件を選ぶ
- 敷金・礼金なしの物件を探す
引っ越し会社を利用しない方法は大幅な費用削減になりますが、段ボールの準備や梱包、荷物の運搬などすべて自分でやらないといけません。
また、入居する物件については事前にどんな状態なのか確認をしましょう。自分で家具・家電を運び入れる場合は物件に傷をつけないよう注意しましょう。
なるべく物を減らす
引越しの際に荷物を減らしておくと、その分引っ越し費用は安くなります。また、新生活が開始するタイミングで思い切って断捨離をすることもおすすめです。
不用品はただ処分するのではなく、リサイクルショップに買取をしてもらったり、クラシファイドサービス(ジモティ等)を活用しましょう。不用品の処分と臨時収入が得られて、お得です。どうしても必要なものは、引っ越しが完了して、新生活が開始してから少しずつ購入して揃えるといいでしょう。
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まとめ
今回は、賃貸物件に安い時期があるのかどうかについて解説してきました。
時期によって賃貸物件の家賃に差がある理由は、入学・入社・転勤の時期は引っ越しが多いので物件家賃・引っ越し費用が高くなるためです。それ以外の時期はオフシーズンといわれて相場が下がるので、安さにこだわる人はその時期に物件探しをするといいでしょう。
オフシーズンに賃貸物件を契約するメリットは、家賃や引っ越し費用が安くなる、キャンペーン物件が多い、繁忙期ではないのでゆっくりと物件探しができるなどがあります。
その反面、新生活のタイミングが合わない、オンシーズンと比べて優良物件が少ない、家電店や家具店の新生活フェアなどのキャンペーンの恩恵が受けられないといった点がデメリットです。メリット・デメリットをよく把握して比較することが大事と言えるでしょう。
また、オンシーズンと呼ばれている時期(1~3月)であっても、新生活の初期費用を安くする方法はあります。家賃・引っ越し費用の相場を確認して比較をする、引っ越し会社を利用しないで自分で行う、多少条件が悪い物件を選ぶなどが、節約のための方法です。
今回の記事を参考にして、上手にお部屋探しをしていただければと思います。